世界初の万能細胞「STAP細胞」
1月29日、あるニュースが世界中を驚かせました。それは万能細胞を作ることに化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市中央区)などのグループがマウスの実験で成功したされたというニュースです。
動物の体は、元は全ての種類の細胞になる能力を持った1個の受精卵から始まりますが、ふつう皮膚や筋肉、神経のように、すでに役割が決まった細胞は他の細胞になることはありません(これを分化と言います)。それを、もういちど別の細胞になることのできる状態にすることを「初期化」といいます。
2012年に京都大学の山中伸弥教授が細胞の初期化を引き起こす4種類の遺伝子を突き止め、初期化した細胞「iPS細胞」の開発によってノーベル賞を受賞したのはまだ記憶に新しいと思います。
研究を中心に進めた同センターの小保方晴子・研究ユニットリーダー(30)によると、今回のSTAP細胞は、マウスの細胞を弱い酸性の溶液に30分間浸け、細胞を刺激することで作製に成功したということです。
ES細胞(胚性幹細胞)や、山中伸弥・京都大教授が作製したiPS細胞(人工多能性幹細胞)は胎児の全ての細胞に変化できたが、胎盤は作れないため「多能性幹細胞」と呼ばれていました。しかし、今回開発されたSTAP細胞は胎盤にもなることができるため世界初の「万能細胞」と呼ばれています。
今回、万能細胞の作製効率はiPS細胞より高く、作製期間もiPS細胞の2〜3週間より短かいそうです。また、iPS細胞は遺伝子を操作するため、がん化のリスクがあり、初期化の成功率も0.2%未満と低いのですが、これに対しSTAP細胞は、外的な刺激を与えるだけなのでがん化のリスクが低く、初期化成功率も7~9%とかなり高いです。しかし、この細胞はまだマウスで作ることができた段階で、ヒトとはさまざまな組織になる細胞の作りやすさが違うため、ヒトの細胞でも同じことが起きるか検証していくことが今後の課題となっています。
この記事は以下のサイトを参考に作られました
・http://apital.asahi.com/article/news/2014012900007.html
・http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1401/30/news033.html
・http://mainichi.jp/select/news/20140130k0000m040087000c.html